賃貸契約の敷金と礼金って何が違う?入退去時に損をしないために知っておきたいこと
最終更新日:2022年11月7日

賃貸契約をする際に、敷金や礼金などの費用が発生します。
これらの費用が何なのか、どのような違いがあるのかなど、詳しく説明していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
敷金とは
敷金は不動産の賃貸契約をおこなう際に、入居者が大家さんへ支払う費用のうちの一つです。
賃貸借契約では、債務を担保するために借主(入居者)が貸主(大家)に支払うお金のことをさし、簡単にいえば契約期間中に大家さんが入居者から預かるお金のことです。
契約期間中に賃料の未払いや不払いが発生したときの担保になります。
敷金は何に使われる費用?
敷金は以下のような場合に使われます。
- 敷金は何に使われる?
- 1.賃料の未払いや不払いに対する補填
2.入居中の不注意や故意により発生した傷や汚れなどの修繕費
「賃料の未払いや不払いに対する補填」は言葉どおりの意味ですが、修繕費については分かりにくいので詳しく説明します。
敷金が修繕費にあてられるのはなぜ?
賃貸の契約上、入居者は退去時に、原状回復義務というものが課せられます。
日常生活で起こる損耗や劣化などは対象外ですが、例えば
・ポスターや絵を壁に飾るために穴をあけてしまった
・うっかり重いものを床に落として大きな傷をつけてしまった
・タバコを吸って部屋の壁が黄ばんでしまった
・水を出しっぱなしにしてしまい、溢れた水でシミができてしまった
など……
これらのような「わざと(故意に)」あるいは「うっかり(不注意で)」できてしまった傷や汚れに対しては、退去するときに元通りにしなくてはいけません。
自分で元通りにするというのは難しいので、通常は大家さんが業者を手配して、かかった費用を修繕費として負担することになります。
敷金は返金されるのか?
退去時に、故意や不注意による傷や汚れがない場合は、入居者側に修繕義務は発生しませんので、通常は全額返金されます。
修繕義務が発生した場合は、修繕にかかった費用を差し引いた金額が返金されますが、敷金以上に修繕費がかかった場合は返金されずに相殺した残りの金額を請求されることになります。
いずれにせよ、普通に生活をしている分には、返金されると考えて問題ありません。
ただし、入居前の住人がつけた傷や汚れがそのまま残っていた場合、退去時に自分がつけたものではないことを証明するのは難しいです。入居時にチェックして不動産会社に報告しておけば、後々の無用なトラブルを避けられます。
また、日常生活で数年経過した際の損耗でも、原状回復義務について何も知らないと退去時のクリーニング費用として普通に請求されてしまい、損をしてしまうこともあります。
関東と関西で異なる仕組み
これまで敷金についてのお話でしたが、関西や九州の方では保証金と敷引という仕組みが使われています。
保証金は敷金と意味としては同じですが、敷金と異なり全額ではなく「一部」返金になります。
保証金として入居前に預かった金額の一部を最初から修繕費として使うことが決まっている契約となっており、修繕費にあてられる金額が敷引きになります。
つまり、保証金として払った金額は、退去時に敷引分の金額を差し引いた金額のみが返金されます。
また、敷金は1~2カ月分が多いですが、保証金の場合はさらに数カ月分上乗せされるため、初期費用が高額になることがあります。
最近では、敷引がトラブルとなったケースも増えており、敷引分の金額を「礼金」と表記している場合もあるようです。
礼金とは
礼金とは、大家さんにお礼の意味を込めて支払うお金のことです。
敷金とは異なり、法律で定められているものではなく、支払後は戻ってきません。
賃貸物件が少ない時代に、部屋を貸してくれたお礼として渡していたものの名残りで、大家さんと入居者の間に密な関わりがあったからこそ意味があったものといえます。
現在は賃貸物件数が増えており、募集しても部屋が埋まらないという問題もあるので、お礼としての意味合いはなく、慣習として残ってしまっているだけです。
物件の空室を埋めるため、大家さん側が入居者を募集するために多額の広告費をかけて宣伝しており、その出費の埋め合わせとして使うために残っているともいえます。
また、最近は空室をすぐに埋めやすい傾向から、礼金なしの部屋も増えてきています。
首都圏で引っ越しをされた方の約半数は礼金なしの物件を選ばれています。
(※参考:国土交通省 住宅市場動向調査報告書より)