賃貸の防音・騒音対策とは? 防音対策とトラブルを防ぐためのポイント

最終更新日:2022年11月23日

賃貸マンションやアパートの入居時に、音の問題は常に上位に入るトラブルの1つです。

特に、コロナ渦では今まで以上に在宅時間が増えたことで、騒音トラブルは増えているようです。

音は普通に生活していても必ず出てしまうものなので、気づかないうちに周りに迷惑をかけてしまったり、その逆もあります。

トラブルに巻き込まれないためにはどうしたらよいか、部屋探しの方法から実際に住んでからの対策などを紹介していきます。

音が他の部屋に伝わってしまう理由

音というのは空気や物を介して振動が伝わっていくことで耳に届きます。 隣の部屋であっても、防音対策がされていなければ部屋の空気から床や壁に伝わり、最終的には自分の部屋まで音が届いてしまうというわけです。

もちろん、途中で振動を伝える物の材質によっては振動は変化するため、全く同じ音が隣の部屋に届くわけではありません。隣の部屋で会話をしていても、その会話内容までは分からないのは、壁などを伝って音(振動)が変化しているためです。

では、どのような状況で音は周りに伝わってしまうのでしょうか。

壁や床を伝って響く

床や壁を伝っていく音のことを個体伝播音といいます。

足音や床に物を落とすなどの音は、壁や床に振動として伝わり下の階や隣の部屋、また天井を伝って上の階に届くこともあります。壁際に家具が設置されていても、家具が壁にくっついていると家具から壁に振動がそのまま伝わっていきます。

空気を伝って響く

空気を介して伝播する音のことを空気伝播音といいます。

例えば、テレビや音楽、会話などは空気を介して音(振動)が伝播していきます。

音はそのまま壁などにぶつかり、振動として床から階下、壁から隣室へと伝わっていきます。

音を防ぐ方法はある?

隣室や階下に音が伝わらないようにする方法は存在します。例えば、壁に吸音材をつける、床に防振ゴムを施工するなどの方法がありますが、それでも完全に音を防げるわけではなく、お金もかなりかかってしまいます。

小さなお子さまがいる家庭では防音マットなどを利用することがありますが、これもある程度は効果がありますが完全には防げないというのが現状です。

賃貸物件の主な騒音の原因

以下のようなものが騒音の原因となりやすいです。

生活音

生活音は生活をしていて普通に出てしまう音全般をさします。足音やドアの開閉音もそうですし、掃除機や洗濯機、トイレの水音などが該当します。

普通に生活して出てしまう音なので仕方ないのですが、夜中に掃除や洗濯をしたり、ドタバタ歩いたり、ドアをバタンと閉めたりと、周りに配慮が足りない行動をとることでトラブルにつながりやすくなってしまいます。

また、人を招く場合も夜中に普段の声量で会話してしまったりするだけでも、周りが静かな状態だと余計に音が伝わりやすくなるため注意が必要です。

楽器

楽器は賃貸物件によっては禁止にされています。しかし、入居時に楽器OKだったとしても、他の部屋の住人が認識していなかったりするなどでトラブルにつながることもあるようです。建物全体ではなく、一部の部屋だけが楽器OKとなっている場合もあるため、事前に確認をしておいたほうがよいでしょう。

ペット

ペット可の物件でも、実際は「飼ってもよい」というだけで隣人がペットを飼っていない場合も多いです。

無駄吠えをしないように躾をきちんとおこなったり、防音マットをしいて階下に音が響かないようにするなどの配慮を怠らないようにしましょう。また、ペット向けの設備が充実しているペット共生型と呼ばれる物件は、ペット飼育者が集まりやすいため、そういった物件を選ぶとトラブルに巻き込まれにくくなります。

騒音が気にならない部屋を選ぶには?

騒音というのは実際に住んでみないと気づかない場合が多いですが、お部屋探しをする際に、事前に注意点を知っておくことで騒音トラブルを回避することもできます。

建物の構造

木造と鉄筋コンクリート(RC)であれば、鉄筋コンクリートの方が音が気にならないというイメージがあるのではないでしょうか。実際、鉄筋コンクリートの方が壁が厚いケースが多いため、隣からの音があまり気にならないということはあります。ただし、空気伝播音が伝わりづらいというだけで、個体伝播音の足音などは普通に伝わってくるので注意が必要です。

また、構造上は鉄筋コンクリートだったとしても、隣室との間の壁がコンクリートではない場合もあるので注意が必要です。その場合は、防音性能が低くなってしまいます。

立地

周りに線路がある場所はもちろんですが、交通量の多い車道がある場所は避けたほうが良いです。大音量で音楽を流す一般車両や、宣伝車などが通ることがあるため、車道との間に遮るものが何もないと、かなりうるさいです。また、通りから外れた住宅街でも、すぐ近くに公園や学校、幼稚園などがある場合は、日中から夕方にかけて子どもたちの声や部活の音などが聞こえてくる場合があります。

他にも、人が集まるお店が近かったり、小さな工場のようなものが住宅街にある場合もあるので、注意が必要です。特に内見をお休みの日におこなうと、平日の工場の稼働音に気づかないので、建物の周りに何があるかをキチンと確認しておくとよいでしょう。

部屋の配置

最上階の角部屋は上の階から足音が聞こえず、隣からの音も片側だけなので気になりにくいというのが一般的ですが、1つの物件につき2部屋しかなく人気もあり家賃も高いです。

実は他にも注意すべき点があります。

一般的な分譲タイプの賃貸住宅は、同じ間取りの部屋がたくさん並んでいますが、建物によっては間取りが異なる部屋が並んでいるケースがあります。その場合、寝室の隣が隣室のトイレだったり、1部屋の間取りだけでは気づかない問題も存在するので注意が必要です。

壁・窓

隣との間にある壁の構造によっては、遮音性が無い場合があります。 また、一般的な分譲タイプではあまりありませんが、寝室が廊下などの共有スペースに隣接している場合は、ドアの開閉音や廊下を歩く音なども聞こえてくる場合があります。

窓が二重になっている場合は、外からの音を遮る効果があります。さらに、断熱性も高まるため、夏の暑さ、冬の寒さ対策にもなります。

住人

内見時に共有スペースの掲示板に騒音に関する注意書きが貼ってある場合は注意が必要です。前に住んでいた方が騒音が原因で退去している可能性もありますし、過去に騒音のクレームがあったかどうかを確認しておく必要があるでしょう。ファミリータイプマンションの場合などは、上の階に子どもがいるかも含めて不動産会社に確認したほうが良いです。

また、共有スペースがキレイに保たれていない場合は、マナーの悪い住人がすんでいることも予想されます。そういった物件もなるべく避けたほうがよいでしょう。

自分が騒音の原因にならないために気を付けるべきこと

ここまで騒音に関する注意点をあげてきましたが、自分が迷惑をかける側になってしまうこともあります。思わぬトラブルに巻き込まれないように、どのようなことに気を付ければよいでしょうか。

掃除機や洗濯機を使用する時間帯に注意する

最近の家電は音が静かなものが増えていますが、掃除機や洗濯機の音はそれでもかなり響きます。

仕事が忙しくて夜しか家事をする時間がない……。そんな場合でも、周りに迷惑がかからないようにできることから変えていきましょう。

足音や扉の開け閉めに注意する

足音が響かないようにスリッパをはいたり、ドアを閉める時にバタンと閉めないなど、細かいことですが注意するだけでも音が響きにくくなります。

テレビやオーディオ機器の音量に注意する

テレビやオーディオ機器を夜中に使う場合は、音量を下げましょう。ただし、壁際に配置している場合は音を小さくするだけでは不十分な場合があるため、ヘッドホンを使うなど音が漏れないように注意しましょう。

人を招く際は時間帯によっては声の大きさにも注意する

人を招いた場合、会話にも注意が必要となります。普通に喋っていても、夜中に周りが静かな状態だと音が伝わりやすくなってしまい、会話の内容までは伝わらなくても音として周りに伝わってしまいます。声を小さくしたり、必要最低限の会話にとどめるなど、周りへの配慮にも気を付けましょう。

また、近年ではコロナ渦でリモート会議やオンライン飲み会を自宅でおこなうことも増えてきていますが、オンライン会議用のマイクを使わないと普通の会話かそれ以上のボリュームで話をしてしまうことがあります。 部屋にいるのが一人だからと油断して大きな声を出してしまうと、周りにも迷惑が掛かってしまうため、注意しましょう。

手軽にできる賃貸の防音対策はある?

引っ越しは考えていないが、今住んでいる部屋をなんとかしたい……。そんな方には賃貸でもできる防音対策を紹介します。業者に依頼せずにDIYで対応可能ですが、防音効果が高いものほど値段が高くなってしまうため、お財布と相談しながら検討してみてください。

1.防音テープ・遮音カーテン

防音テープは窓などの隙間に貼ることで、空気伝播音が伝わりづらくなる効果があります。

数千円で気軽に対策ができるため、外からの音にお悩みの場合は、まずはこちらを試してみることをおススメします。

また、カーテンを遮音性の高いものに交換するだけでも防音効果が高まります。ただし、カーテンを閉めたままにしないと効果がないので、日中にカーテンを開けておきたい場合は注意が必要です。

2.吸音材(防音材)

壁を防音仕様に変えるとなると高い施工費がかかりますし、賃貸ではそもそも難しいのですが、壁に貼るだけで防音効果がある防音パネル(吸音パネル)というものがあります。パネル1枚あたり数千円で購入できますが、壁の大きさによってはかなり高額になってしまうため、注意が必要です。

3.防音マット

お子さまやペットがいる場合は、いかに下の階に迷惑をかけないか、頭を悩ませる問題かと思います。

階下への影響を考慮するなら、防音マットやカーペットがおススメです。 音を遮断する等級が存在しており、JISで定められた規格ではΔLL-5だと下の階に音がほとんど聞こえなくなります。

4.内窓(二重窓)

窓の内側に窓をつけるというもので、窓と窓の間に空気の層ができるため、音が伝わりにくくなります。また、防音効果だけでなく、断熱効果も期待できます。

内窓は設置に工事が必要のように思われますが、実は賃貸でも取り付けが可能です。

窓の寸法を測って、通販などで購入してDIYで自分で取り付けが可能なものがあります。 窓のサイズによって異なりますが、小さな窓なら3万円前後が目安です。

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